えことら -Economy Traveler-

船で働いて休暇は海外!そんな生活に興味ありませんか!?

海上技術学校・海上技術短期大学校の寮生活

国土交通省の船員養成学校である海上技術学校(高校に相当)及び海上技術短期大学校(短大に相当)では、学校が比較的僻地にあることや、航海実習や船員として働くうえで共同生活をする必要があることもあり、ほとんどの学生が寮生活を送ることになります。そこで、この寮生活の実態について紹介したいと思います。なお、筆者は2013年に卒業していますので、この記事の情報はほぼ2013年までのものになっています。2019年現在では施設やルールなどが変わっている可能性がありますので、参考程度にしてください。

 

寮での食事

決められた時間に3食とることになります。平日授業のある日の昼食は、寮生も通学生も寮の食堂で食事をとります。週末については毎週事前申告でキャンセルすることが出来、キャンセルしなかった分を毎月療食費として納めます。

メニューは1種類で選ぶことはできませんが、みそ汁やスープなどの汁物とご飯についてはお変わりが自由です。

食事用のお茶は当番が事前に作ります。

 

寮の消灯時間

22時消灯です。電気を消すのではなくブレーカーを落とすのでエアコンも止まります。スマホの充電や温度調節は消灯前に完了して寝ないといけません。清水の寮ではブレーカーを落とさないという話を聞いたことがあります。

21時もしくは21時30分(うろ覚えです、すみません)に巡検があるので、この時間には部屋に戻り整列して巡検を受けなければなりません。

後述しますが、巡検に間に合わなかった場合は減点の対象となります。

 

週末の外泊

授業のない週末には外泊申請を出して、許可を受けることで寮外で外泊できます。私の時は通学生のアパートや、インターネットカフェでも許可が出ていました。

自転車でしまなみ海道を走破して本州で泊まって日曜日に復路を走破したり、石鎚山に1泊2日でアタックして帰ってきた人もいました。

週末ではないですが、上級筆記試験や就職活動の面接などでも公欠で外泊許可をとることが出来ます。

 

寮点の減点

船員生活での協調性を養うという側面から、寮則や校則に違反すると原点を受けることになります。

20点満点で始まり、帰寮遅れ(巡検に遅刻する)、脱寮や無断外泊、掃除などの当番に参加しない、未成年の喫煙、消灯時間後の盗電(廊下など公共区域のブレーカーは落とされないため)などで減点を受けます。

0点になると強制退寮となります。内申点に響きますが、就職活動に時に退寮処分を受けたことを通達されるかははっきりしません。

退寮処分を受けると、自分で部屋を借りて通学しなければなりません。寮にいると窮屈な面も多々ありますが、お互いに遅刻やサボりをしないように支えあうことが出来る面があります。宿題や定期試験などでも助け合えるので、突然退寮になると、これらのメリットを失い、成績が下がったり、出席日数が足りなくなるなどで留年や自主退学になるケースが結構あります。

 

当直当番

2名ずつ1週間交代で当直当番が回ってきます。当番期間中は当直室に移動して生活しながら、当番教員と一緒に朝夕の巡検や、寮内の放送、寮に届いた手紙や荷物の取り次ぎなどを行います。

数少ないメリットとして当直室は24時間電気が使えます。

 

荷物の受け取り

寮止めで荷物を送ってもらうことが出来ます。Amazonなどで購入して寮に送付することも許可されています。荷物が届けば当直当番が受け取り、対象者を放送で呼び出します。試験の結果や内定通知なども寮止めで受け取ることになります。

 

ネット環境

自分が入寮していたころは就職活動用のパソコン以外にネット環境はなくWifiも飛んでいませんでした。

個人で契約してルーターを持ち込むことは許可されていましたので、年長者を中心に契約者がおり、契約者にお願いして使わせてもらっている人もいました。

 

寮生活のメリット

寮生活のメリットはいくつかありますが、まず寮費を払う必要はありますが、個人で部屋を借りるよりはずっと安く済みます。

また寮は学校の敷地内にあるので、通学時間はほぼなく、同級生同士助け合って遅刻などをせずに授業に臨めます。申告して鍵を借りる必要がありますが、忘れ物があっても取りに帰れます。

宿題や試験勉強を助けてもらえます。一番大きなメリットだと思います。卒業することではなく、それ以上に卒業して免許を取得して就職することを目標にみんな頑張るので、得意分野で助け合ったり、苦手な人に教えることで理解を深めることで目標に近づけます。

 

寮生活のデメリット

テレビがない、ネットがない、掃除当番や門限や消灯時間がある、というのがデメリットになります。ただしこれは寮生活を送っていなくても乗船実習では全員が同じ境遇になるので、普段からやって慣れているほうがいいかもしれません。

乗船実習だけでも窮屈なのに、という意見ももちろんありますが。

 

 

さて、海上技術学校及び海上技術短期大学校での寮生活について紹介しました。寮の老朽化や時代の変化などで、書いてあることから大きく変わっている可能性もありますので、参考程度にしていただければと思います。

就職すれば乗船期間中に割り当てられる居室は個室になります。部屋替えの時は仲の良いグループで申請することもできますので、2~3年の貴重な体験だと思って、前向きに寮生活を送ってもらえたらと思います。

海外旅行をする時の”外貨を用意する”方法

旅行をする上で一番大事なものはパスポートですが、次に大事なのはお金です。この二つさえあればとりあえず、どこでもなんとかなります。航空券だって空港で買えばいいんですから。

そのお金ですが、日本円だけだと、深夜の空港着で両替できなかったり、両替所があっても受け付けてもらえない場合もあります。トラベラーズチェックは現在ではあまりメジャーなお金の持ち方ではなくなってきており、現金化できる場所が限られるケースがあります。

慣れてくると、レートや手数料を考えて一番損をしない外貨の両替方法を考えるようになりますが、ここでは難易度の低い順に紹介していきます。 

 

銀行で両替をする(国内)

旅行の日程が決まったら銀行へ行って現地通貨を用意するという方法です。あらかじめ通貨を用意しておくことで不安を一つ片付けられるというのが最大のメリットの方法です。新札で用意されるので、現地でボロボロだからと受け取りを拒否される心配もありません。

デメリットは、地方の銀行などでは両替の手配から実際に受取までに日数がかかる場合があること。小額紙幣にしてもらうのが難しい点が1つ。そして一番のデメリットは手数料が一番高いことです。安心を買うという点はよいのですが、1ドルや1ユーロあたり3~5円程の手数料がかかってしまいます。また、日本に観光に来る人がほとんどいない途上国の通貨だと取り扱いの無い場合も結構あります。

新札で手に入る点がメリットなのですが、一部の国や地域では逆に新札の場合偽札を疑われて受け取ってもらえないケースがあるので、渡航先の情報を確認しておきましょう。

 

空港で両替をする(国内)

日本の空港に到着してチェックインをした後に両替をする方法です。

手数料の割引キャンペーンなどをよくしているので、銀行で両替するよりは手数料が低い傾向があります。その場で両替してもらったお金を受け取ることができます。高額紙幣を小額紙幣に交換してもらうこともできるでしょう。また、定期便が就航している渡航先の通貨であれば取り扱いがあるというのも安心です。

デメリットは海外で両替するよりは手数料が高いことが多い点と、深夜や早朝便を利用する場合営業していないことがある点です。そのような便を利用する場合は銀行で両替しておくか、これより下の手段を選択した方がいいかもしれません。

 

空港で両替をする(海外)

到着した空港で両替をするという方法です。

ほとんどどの国でも深夜であっても到着便の時間には両替所は営業していることが多いので両替できない心配はないでしょう。国によっては街に移動してから両替するのと手数料が変わらなかったり、逆に安かったりする場合がありますので、調べてうまく利用するといいと思います。海外で両替を行った場合には必ずその場で提示されたレート通りの額面があるか確認しないといけませんが、入国して公共スペースに入る手前であれば、お金を数えているのを見られて目を付けられる恐れが低い点も安心です。偽札やボロボロのお札を渡されたり、ちょろまかされる心配も比較的低いと思います。小額紙幣への交換も応じてくれます。

デメリットは国によっては街に移動した方が手数料が安い場合があることです。その場合は最低限の両替をして街へ移動をするか、下で説明しているATMを利用する方法があります。

 

宿泊ホテルで両替をする

中級以上のホテルではフロントで両替してくれることが多いので、ツアー旅行などの場合はホテルに到着してから両替するというのも選択肢に入ります。個人旅行の場合はホテルの予約の時点で送迎をお願いしていない限りは、何らかの方法で現地通貨を用意しないと空港から移動できません。但し、ゲストハウスでも両替をしてくれるケースもあります。

デメリットはレートが悪いことが多い事と、小額紙幣に変えてほしいなどの融通が利かない場合があること、遅い時間や早い時間はセキュリティの問題などで両替して盛られないことがある点です。

個人旅行で、空港からホテルへはタクシーを利用する場合は現地通貨がなくてもいいといわれても、利用しない方がいいです。車内で闇両替をしたり、外貨払いで乗ることになりますが、大抵レートが悪かったり法外な値段を要求されるなどトラブルになります。

 

銀行・両替所で両替をする(海外)

旅行中に不足した場合によく利用する方法だと思います。国によって両替所のほうがレートがいい、銀行のほうが手数料が安い等差がありますので確認して利用して下さい。デメリットは先進国の場合日本国内で両替するのと変わらなかったり、より高い手数料がかかるケースや、両替所がほとんどない国などもあります。両替所を利用した際には必ずその場で両替したお金がちゃんとあるか、ひどく傷んだお金が混ざっていないか確認して、問題があればその場でクレームを言ってください。いったん離れてしまうと受け付けてもらえません。セキュリティを考えるなら外から見られないようになっている両替所を利用して、金額を確認して財布にしまってから離れるようにすると、より安全です。

 

海外でATMを利用する方法

ここから先は海外のATMを利用して現地通貨を引き出す方法になります。英文のガイドにしたがって操作をすることで利用できます。英語が苦手だと避けがちですが、手数料的にも利便性でもおすすめできる方法ですので、使い方をマスターして損をすることはありません。

固定の1回当たりのATM利用引き出し手数料と利用するカードそれぞれの両替レートの手数料がかかりますので、利用回数を減らしてある程度まとまった金額を引き出すことでお得に利用することができます。

最低1万円単位で利用するようにすれば、このページで紹介した両替方法の中で一番お得に現地通貨に両替することができる手段であるケースがほとんどです。

 

海外専用プリペイドカードを使って海外のATMで引き出す

海外で利用することのみに特化したデビットカードだと考えてください。専用の口座にあらかじめ国内で日本円で入金しておいて、現地のATMで現地通貨として引き出すという使い方をします。スキミングなどの被害にあった場合でも、入金した金額で被害が止まるのが最大のメリットです。日本の銀行口座に直結する国際キャッシュカードやクレジットカードでの海外キャッシングの場合、限度めいっぱい被害にあう可能性がありますが、海外専用プリペイドカードでは入金した金額だけの被害で済みます。また、日本国内の家族にお願いすればカードに入金してもらうことができますので、使う分だけ入金しておいて、万が一不足しても入金してもらうだけでまた使えるようになるので、海外送金してもらうよりもずっと手軽で手数料もかかりません。未成年などクレジットカードが作れなくても作れる点も大きいです。

デメリットは発行手続きから手元に届くまで時間がかかることです。但し、セゾンカード発行のネオ・マネーなどはセゾンカードのオフィスで即日発行して受け取れるところもありますので、急ぎの場合は取り扱いのオフィスを調べて直接赴けばすぐに手に入れられますよ。VISAやマスターなどの国際ブランドが付きますので電子マネーデビットカード間隔でそのまま支払いができる国もあります。

この海外専用プリペイドカード以降のATMを利用する外貨を取得する方法はどれも英語表記のATMを利用してお金を引き出す必要があるので、その入門用としておすすめです。

 

国際キャッシュカードで海外のATMから引き出す

日本で使っているキャッシュカードでINTERNATIONALという表記があるカードであれば海外のATMで日本でお金を引き出すように現地通貨を引き出すことができます。

デメリットというか残念な点は、コストがかかる為かどんどんINTERNATIONAL対応のキャッシュカードがなくなっていて、メジャーな手段ではなくなってしまった事です。手持ちのキャッシュカードにINTERNATIONALと記載してあっても現在は国際キャッシュカードとしてのサービスを終了してしまっているものがありますので、銀行に問い合わせて旅行先で使えるか確認をしておいた方がいいと思います。

 

クレジットカードで現地でキャッシングする

ATMの利用方法は海外専用プリペイドカードや国際キャッシュカードとほとんど変わりません。

デメリットはスキミングなどのリスクが3種類の中で最も大きい点です。海外で被害にあった場合、高額な国際電話でカード会社に連絡して止めてもらうなどの必要が発生する場合があることは考えておく必要があります。複数のカードを用意して別々に持ち歩く、海外専用プリペイドカードなどと併用するなど、リスクを分散しましょう。

クレジットカードとして海外で利用するには便利でないケースのあるJCBブランドですが、世界各地に現地オフィスがあるので、いざという時のカード停止や緊急カードの発行などを現地で日本語で対応してもらうことができます。JCBプラザのある都市に行く予定であればJCBを1枚持っておくといいと思います。セゾンカードもバンコクなどに事務所があり日本人スタッフがいます。

 

 

 

番外:闇両替を使って両替をする

これは完全におすすめできない方法ですが、一応紹介しておきます。両替所としての店舗を構えずに、外国人に声をかけてくるというのが一般的なパターンです。

レートが悪かったり、危ない目にある可能性があることや、ちょろまかしや偽札をつかまされるなどリスクが高い場合があり、お勧めできません。

但し、国によって両替所の運営に利権がかかっていたり、自国通貨の信用が低くユーロや米ドルといったハードカーレンシーが国内で通用する国などでは、レートが悪くないケースや、リスクが高くない場合もありますので、慣れてくれば選択肢に入れてもいいかもしれません。

船上・海上のネット・Wifi事情

もはや無い生活なんて考えられなくなったネット環境。DoCoMoAUソフトバンクの大手3社どころかMVMOでも日本全土の98%以上をカバーしていてかなり山奥に行っても電波が入らないということもほとんどなくなった現代。さて、山がつながるなら海はどうなんだということで、船で生活するうえでもネットにつながるかどうかは重要な問題です。この項では船員として船でのネット環境について、経験から紹介します。フェリーのネット事情にも少し触れています。

 

スマホの電波事情・沿岸編

内航船(日本国内のみを運行する商業船舶)は大抵日本の海岸線が見えるくらいの近さの会場を走っています。具体的には海岸近くの海抜にも寄りますが大体3~15マイル(1マイル≒1852mなので5.5~28km)くらい沖の場所になります。

2010年代前半までは10マイル≒18km離れると電波が途切れることも結構ありましたが、2018年現在では30kmいないなら何とかLTEで1本立ちますので、ネットを見たり、LINEをするくらいならほぼ問題なくできます。

ただ、三陸沖など海岸線が入り組んでいて人口密度も低いようなエリアの場合、かなり沿岸近くを走っていても電波が途切れることもあります。

 

スマホの電波事情・空港編

日本には関西国際空港や中部空港セントレア、羽田国際空港といった海上人工島に建設された空港があります。機内では通信機器はフライトモードにしないといけないくらい電波には神経質なのが空港施設です。

そのため、電波管制しているのか、航空管制通信の電波が強すぎるのかはわかりませんが、空港が近くにあると東京・大阪・名古屋といった大都市付近の海上でも圏外になることが結構あります。

中部セントレアなどではこのジャミング問題の対策を始めており、効果が上がっているそうですが、まだまだ通信妨害にあって満足にネットに繋げないことが多いです。

空港とは違いますが、東京湾のど真ん中、中ノ瀬という錨泊地では、東京・横浜・千葉のエリア電波がそれぞれ互いにケンカをするのか、ここでもよくネットが途切れます。

 

スマホの電波事情・遠洋編

和歌山の南端・潮岬から伊豆半島南端の石廊崎へ一直線に走るときなど、日本国内でも360度見渡す限り水平線という海域を航走する船もあります。

こういう海域を走っているときはさすがに圏外になってしまいます。船は衛星電話を搭載していますので、このような場所でも連絡を取ることが可能ですが、スマホは衛星通信に対応していないので、圏外になります。

数年前は北海道の南の海上で国際ローミングに接続しようとしたりといった事例もありましたが、最近はそういうことはなくなりました。

24時間以内にはネットがつながるところまで戻ってくるので、それまで我慢するしか今のところはないです。

 

船の公共Wifi

衛生電話とFAXが本土との主要連絡手段だったのはほぼ過去の話になり、メールでのやり取りを行う為に船にWifi設備を搭載する船が多くなっています。船の屋根に巨大な受信機を搭載する場合から職務用のPCにUSBルータを指すだけの市販機での対応まで様々です。

近年は、ネットにつながって当たり前の若い世代が増えてきたこともあり、ネットにつながらないのが理由で船を辞めたり、別の通信インフラに力を入れている船会社へ移るケースが出てきたため、福利厚生として船内に公共Wifiを導入する船が増えてきてはいます。

その場合でも、簡易な市販品で10マイル≒18km、本格的なネットワーク機器を搭載しても25マイル≒46km程度です先述の潮岬~石廊崎間を航行するときは60マイル≒110km以上を悠に離れた場所を航行しますので、結局圏外になります。

人工衛星を使ったネット通信サービスもあるのですが、衛星ネット回線は一説には一か月で100万円ともいわれるほどの高額回線であり、24時間以内には陸岸に近づいてネットに再接続できるようになる為、搭載している船はあったとしても官公庁船や海洋調査船などの特殊な船舶だけではないでしょうか。

いっぽう豪華客船やフェリーではネットが圏外になるとお客さんからクレームが出る為、携帯電波の基地局自体を船の屋根に設置するケースもあります。この場合はかなり電波の安定が見込めますが、それでも陸上の基地局から離れすぎるほどの沖を走るとやはり圏外になってしまうようです。

 

以上が船の上でのケータイ通信事情の現実になります。思ってたより大丈夫そうでしょうか?それとも耐えられないくらい酷かったでしょうか。

船という特殊な環境で働く我々船乗りに対しても、陸上で働く人とできるだけ同じ環境を整備するという取り組みは年々政府主導で行われています。ですから、数年前より少し遠くまででもネットがつながるようになっているように、これからも船上のネット環境は徐々に改善されていくと思われます。現状より悪くなることはないと思います。

通信環境に対する心配で船乗りに興味があっても足踏みしていて、この記事を読んでこれなら大丈夫そうだと感じられた方は、是非船乗りを目指してみて下さい。船員不足は続いておりますので、どの会社や船に就職されてもきっと歓迎されると思いますよ!

キャンディの仏歯寺は早朝に行こう!

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朝の仏歯寺

スリランカ第二の都市キャンディは街自体が世界遺産に指定されています。この町で最も有名なものは仏陀の歯が納められた仏歯寺です。

仏歯寺は正式にはダラダー・マーリガーワ寺院(Dalada Maligava)と言って、パワースポットとして有名です。仏歯寺を拝観するなら是非朝一番の開帳に合わせて訪れるべきです。2018年11月に僕が実際に拝観した体験から、なぜ早朝の拝観がおすすめなのかをお教えします。 

 

キャンディの朝は涼しい

熱帯で暑いスリランカですが標高800mほどの地点にあるキャンディは昼は日差しが強く、かなりの暑さになります。一方で夕方から朝にかけては涼しくクーラーがなくても平気なくらいです。

スリランカでは寺の入り口にあるムーンストーンの先へは裸足でなければ入れません。昼間は歩けないほどの温度になることもあります。

次に、仏歯寺は現地のスリランカ人にとって非常に重要な寺院であり、参拝者や巡礼者が非常に多く訪れる寺院です。昼は観光客も増えてすごい人数になります。そして、寺にはクーラーがありません。

朝は長袖があった方がいいくらいに涼しくなります。足の裏が火傷思想になったり、大渋滞に並んで蒸し暑い中で参拝するなら、ちょっと早起きして涼しい時間に訪れる方がいいと思いませんか。 

 

観光客がほとんどいない

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巡礼者達、みんな白い服を着ています。

 早朝は観光客はほとんどいません。数百人の白い巡礼服の列の中で、その日の外国人は僕一人でした。海外旅行に行くようになると、有名なところはどこに行っても観光客がたくさんいるのが普通になってきます。ガイドブックに載っていないローカルな場所ではなく、世界遺産で、現地のありのままの姿に触れられるというのはとても特別な感じがしました。

昼の賑やかな仏歯寺やその周辺も楽しいですが、せっかくなら本来の姿を見てみたいという方、おすすめですよ!

 

開門前から地元の巡礼者でいっぱい

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お寺の中に入っても行列です

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お寺の中に入っても行列です


 仏歯が入った金の入れ物はペラヘラ祭りで像の背に乗せられてキャンディの街を回るとき以外は仏歯寺に納められています。この入れ物は一日3回のお祈りの時のみ扉が開帳されて見ることができます。

なので、現地の人も観光客もこのプージャと呼ばれるお祈りの時間に合わせて仏歯寺を訪れます。プージャは午前に5:30~と9:30~の2回午後は18:30~の1回で、1時間くらい開いています。プージャの30分前には巡礼者と観光客でかなりの行列になりますので少し早めに行きましょう。

 

客引きや物売りがいない

 昼は自称ガイドやスリーウィラーのドライバー、おみやげ売りのおじさんでいっぱいの仏歯寺も早朝なら誰もいません。なので、せっかくの参拝に水を差されることはありません!

物資に備えるお供えの花等はクィーンズホテル側の仏歯寺入口左手に屋台が並んでいます。1つ100ルピーで、外国人価格を言われることもありません。

 

仏歯(の入れ物)を近くで見られるかも!

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奥の子窓の向こうに仏歯が安置されています。手前は献花台

本来参拝者は仏歯の手前の献花台に花を供えるだけで、仏師の入れ物の近くまで行けるのは寄進するものを持った人たちだけです。僕は現地の人たちと一緒に並んで参拝しようとしていたところを、現地の方たちがせっかくだからと仏歯の近くまで連れて行ってくれました。こうした心遣いが必ず受けられるわけではないと思いますが、もし近くまで行けたら特別な思い出になりますよ。

 

仏歯寺の中でも気を抜かないで!

早朝は客引きやみやげ物売りがいないので煩わしくないということをお話ししましたが、実は仏歯寺の中では寺の運営のために行っているツーリストカーと契約しないかと声をかけられたり、外国人とみて仏像の近くまで手招きして、高額紙幣を見せて、他の外国人はこれだけ寄付してくれたぞ等と、寄付を強要するような場面が残念ながらありました。

仏歯寺もやはり外国の観光地なので、こういった嫌な気持ちになることはどうしても起こります。毅然と”必要ない”と断ればしつこく言ってはこないので、そういうこともあるという事には留意しておいてください。

 

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参拝が終わったらこちらに線香とキャンドルを供えましょうね

仏歯を拝観して、書物庫や新堂を見て回ったら左手の出口から出ます。写真の光景が正面左にみえるので、そこに線香とキャンドルを供えたら仏歯寺の参拝は完了です。ぐるっと回って靴を受け取ったら外に出ます。早速朝食に行くのもよし、涼しいうちにキャンディ湖の湖畔をぐるっと回るのもとても気持ちがいいですよ。

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対岸から見た仏歯寺

 

船乗りになるには

僕のブログを読んで船乗りに興味を持った、船乗りになりたい!という方、ありがとうございます。とてもうれしいです。それでは、船乗りになるにはどうすればいいかを教えます。

船乗りになる道は、学校へ行って国家資格を取るという方法が最も一般的です。学校で臨時試験が行われ、それに受験して免許を取ります。国土交通省の庁舎で行われる定期試験に比べて取得しやすい条件がそろっており、真面目に授業に取り組んでいればこの臨時試験で合格することができるでしょう。在学中に内定をもらっていても、この卒業時に行われる臨時試験で海技免状が取得できなかった場合、内定取り消しになることが少なくありませんので、注意してください。

それでは学校別に紹介していくので、興味のあるところを読んでみて下さい。詳しく知りたい方は各教育機関のサイトを見たり、問い合わせてみて下さいね。

 

目次

 

中学を卒業して進学する学校

まずは、中学を卒業して進学する学校です。その性質からほとんどが現役生になりますので、どの学校に進学しても高校生活+船の勉強だと思ってください。

水産高校

各県にある(はず)の水産高校は、海技免状のとれる学校としては最も数の多い学校で公立高校です。水産の勉強だけでなく海技免状や潜水士の免許など様々な海に関わる免許を取得することができます。海上技術短期大学への指定校枠のある高校も多いです。

200トン前後の実習船を持っていて、それでトロールなどの漁業実習を受けながら、海技免状の乗船履歴を取得します。遠洋実習でハワイへも行きます。学校で取得するのは4級海技士の航海もしくは機関になります。3級海技士の筆記をとることもできます。

商船高専

国立の高等専門学校高専)なので就学期間は3年ではなく5年です。システム科など海技免状を取得しない学科を選択すると船乗りになれませんので注意してください。高専は倍率・偏差値共に高いので、目指すならしっかり勉強しましょう。学年上位になれば商船御三家こと日本郵船川崎汽船商船三井へ就職することも夢ではありません、頑張りましょう。

現在日本国内には広島・大島・弓削・鳥羽・富山の5か所あり、俗に五商船と呼ばれます。それぞれの学校がお互いにライバル視して順位付けしていますが、就職において優劣はありませんので、好きなところを選ぶといいと思います。例外として学閥のある会社においては特定の学校出身者が内定をもらいやすいということがあるので、希望する会社が決まっているなら学閥を意識して選択した方がいいです。

商船高専は基本的に寮生活になります。最近はそこまで厳しくなくなったそうですが、最高学年の5年生は神として君臨し、1年生は奴隷のような扱いと、卒業生の同僚・後輩は口をそろえて言います。体育会系の社会ですので進学を目指すなら覚悟しておいてください。卒業生のいる会社に就職すると、社会人になってもこの上下関係が続くようです。

航海訓練所の乗船実習を3回行いますので、卒業して入社するのは5年の10月になります。そのうち1回は帆船でハワイにいきます。

海技免状は航海もしくは機関の3級を取得できます。また、同じ学年で2回留年すると退学になりますので注意!

 

海上技術学校

水産高校より商船に特化した国立の学校です。高校扱いなので3年間ですが、文部科学省管轄の学校ではなく、国土交通省管轄の学校ですが、学歴認定としては高卒と同等になります。

唐津口之津・館山・小樽の4か所があります。同じく寮生活となりますが、高専のような厳しい上下関係はあまりないようです。航海訓練所での乗船実習はありますが、海外へは行かず、国内航海になります。

取得できるのは4級海技士の航海もしくは機関ですが、6か月の追加実習がある乗船実習科なら4級海技士の航海と期間を取得することができます。

 

高校を卒業して進学する学校

次に、高校を卒業してから進学する学校で、大学や短大に相当します。普通科高校からの進学や、高認での受験も可能で、学校によっては浪人入学や社会人入学も珍しくありません。

 

商船科のある大学

国立としては東京海洋大学神戸大学、私立では東海大学などがあります。特に東京海洋大学神戸大学は、船乗りを目指す学校としては国内の最高学府となるので、最も入学が難しいといえるでしょう。その代わりに、名だたる船会社から引く手あまたです。一般企業でも、一流言われる会社に多数の内定者が出ています。

これらの大学生も降下訓練所での実習があり、高専と同じく帆船でハワイへ行きます。学生の人数が少ない海技大学校と合同で訓練航海になることがあります。

取得できる海技免状は、3級の航海もしくは機関です。

 

水産大学

こちらは水産庁管轄の国立の学校になります。航海訓練所での実習はなく、大学の船舶を用いて実習を行います。

 

海上技術短期大学

海上技術学校と同じく国土交通省管轄の国立の学校で、宮古・清水・波方の3校があります。地元の船会社に就職するのでなければ3校とも就職の優劣はありません。教育内容も変わらず、就職先も大きく変わりませんが、立地の問題なのか、毎年入試倍率が清水>波方宮古の順になっています。

短期大学という名はついていますが、文部科学省管轄でないので最終学歴は短大卒とはなりません。取得できるのは4級海技士の航海と機関です。海技大学校に進学することで、3級海技士の取得と、外航船員としての道が開けます。

こちらの学校も寮生活となりますが、短大なので2年しかないこと、2年を通して3回、計9か月の航海訓練所での実習があるので、寮で先輩後輩が顔を合わせるのは2~3か月だけです。恐らく商船系の学校で最も学年間の交流が薄い学校になります。先輩後輩の関係が煩わしい人にはいいと思います。就職したらそうもいかなくなりますが、学年間で高専のように上下関係を強いる雰囲気はなく、むしろ海技短大や水産高校の卒の年配の方は、若い後輩を可愛がってくれるケースが多いです。

航海訓練所での実習では、帆船にも乗りますが、海外へ行くことはなく、国内のみの実習になります。大学生・商船高専生と違い、実習実施時に19歳と20歳及びそれ以上が混在する為、長い実習期間で飲酒が禁止になりますので、注意しましょう。

2年という短い期間であることと4級海技士が取得できる点から、商船系学校の中で最も社会人入学の数が多い学校でもあります。30~40代の方も入学されて卒業と同時に就職していきます。

 

船の学校を卒業して進学する学校・教育機関

海技大学校とSECOJ(通称セコジ)などがあります。学生がさらなる学業の為に進学・受講したり、社会人になってからステップアップのために受講します。

海技大学校

水産高校や海技短大など4級を取得できる学校の卒業生が学業で3級の取得を目指して進学します。座学と実習、航海訓練所での実習を経て3級海技士の航海または機関を取得します。

 

船員雇用促進センター(SECOJ)

様々なコースがありますが、外航船員育成のためのコースがあり、20台で3級海技士を取得している者を対象に、外航船での実習のための船会社とのマッチングを行い、SECOJでの研修の後、マッチングした船会社の実際の商船に乗り組んで外航船での仕事を研修として実体験することで、修了後の外航船員即戦力として育成するコースです。

 

社会人になってからの養成機関

ほとんどが小型船舶免許の教習所や海技試験の筆記や後述の対策講座の学校ですが、一部にゼロから海技免状取得を目的とした口座があります。

尾道海技学院

海技試験や小型船舶の講習を行う民間の機関ですが、6級海技士免許取得を目指した口座があります。終了し6級を取得することで、航海士として、もしくは航海当直部員認定を受けて甲板手として就職しそれ以上の免許のための乗船履歴を得て航海士へとステップアップしていく道です。

 

その他の方法

海技免状という国家資格が無いと職員として船に乗り組むことができませんので、基本的には上記のような育成機関で勉強してから、免状を取得して船に乗ります。

但し、一部に例外がありますので例として挙げたいと思います。どちらもレアなケースになりますので、参考程度に見ていただければと思います。

 

一般大学を卒業して就職

船と関係ない学部学科の新卒学生を対象に、会社負担で海技免状取得のための訓練を受けてもらい船乗りとして採用するというケースが近年増えてきています。

但し、対象は国立の東京海洋大学神戸大学の商船学部卒業生の代替なので、採用されるには高い学歴が必要です。こちらも海技免状の筆記を取れないと取り消しになりますが、求められる学歴出身者なら問題なく取得できるでしょう。

 

免許を持たずに船に乗る

かつては一般的だったこのケースが今では非常に狭い門になっています。特に小さな船会社では自腹を切って新人を育成する金銭的余裕がなく、断られるケースが多いです。ですが、船乗りをしている友人からの紹介や船会社でメールや電話で熱意を伝えることで、見習いとして乗せてもらえることもあるようです。

これらの手段を使っても載せてくれる会社が見つからない、教育機関に入って学ぶ余裕がないといった場合には、奥の手になりますが、漁船に乗り組んで乗船実績を作り、甲板部当直部員の認定を受けることで、甲板手として採用してもらうことができます。この場合就職口は大きく広がります。

 

 異常が船乗りになるための道になります。

僕は普通高校を卒業後に海上技術短期大学へ行き船乗りになりましたので、海技短大についてはお教えすることができます。もし僕に聞きたいということでしたらanty0610@gmail.comまで気軽にメールしてくださいね。

トランジットで9時間あれば弾丸香港観光できる!

10月29日~11月20日までミャンマーヤンゴン)及び、スリランカへ旅行に行っていました。今回関西国際空港関空)からヤンゴンへはキャセイパシフィック航空を利用しました。せっかくの香港経由なので、トランジットの長い航空券を選び、数年ぶりに香港に行ってみることにしました。9時間のトランジットがあれば十分に観光することができることが分かりましたので、紹介します。

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トランジットは9時間あります。

入国審査を通って入境

香港に限った話ではありませんが、日本の空港で連続した航空券を受け取った場合でも、ビザの問題さえクリアしていれば、入国審査を受けて入国することができます。受託手荷物はそのまま勝手にトランジットされていきますので、必要なものはあらかじめ機内持ち込みにした方がいいと思います。入国審査の列にもよりますが、20分~40分で入境できます。空港内にも魅力的なお店やコンビニがありますが戻ってきてからも時間がありますので先に市内へ行くことをおすすめします。但し、香港の入国審査前のショップは深夜には閉店していますので、注意してください。

 

空港から市内へ移動

空港から市内までは、早い順に鉄道、タクシー、バスがあります。鉄道はバスより高いですが、市内まで直結でとても速いのでできるだけ長く香港を観光したい!トランジットが短い!という場合におすすめです。

僕は今回バスを利用しました。バスと市内の地下鉄やフェリーはオクトパスカードで利用できるのでとても便利です。バスはないと運航があって24時間空港へ向かうバスがありますので助かります。深夜のバスは道が空いていてとても速いですが、空港スタッフ用に貨物ヤードなど空港内の様々な場所を大回りしますので、時間に余裕を持って乗った方がいいです。往路は14時前初の香港島セントラル行き、帰りは半島側から18時ごろ乗りましたが、どちらも1時間弱で到着しました。

鉄道・バスのオクトパスカード共に当日の復路は割引がありますので、トランジットでの滞在がお得です!

 

市内観光おすすめルート

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フェリーと香港島を展望デッキから。

まずはバスでセントラルまで行きましょう。降りたらそこはイメージ通りの香港です!

南に下って大通りを渡ると島の斜面にそって町が広がっていますので、徒歩もしくはエスカレータで登ってカフェやバールでお茶をするといいですよ。夕方には世界各国のビジネスマンでいっぱいになる楽しい飲み屋エリアです。

お茶をしたら大通りまで降りて東行きのトラムに乗ります。2階建てのトラムは香港の象徴的な乗り物ですなので、観光と移動が一度に楽しめます。オクトパスカードも使えますよ。

トラムで まで移動したら再び大通りを北へ渡ってフェリー乗り場へ向かいます。フェリーは頻発しており、値段も安く庶民の足ですが、観光スポットとしても人気です。フェリーに乗って対岸へ渡りましょう。着いたところにはレストランの予約を取ろうと客引きがたくさん観光客を待っています。しつこくはありませんので、時間がなければスルーすれば大丈夫です。

乗り場を出て左手に展望デッキがあります。夜はライトアップされたビルの夜景によるエンターテインメントが見られる人気スポットで20時ごろには人がいっぱいになります。昼でも香港の撮影スポットなのでおすすめです。

展望デッキを降りたら少し北へ行きましょう。高級ブランドの入ったショッピングモール があります。香港の古い建物をリノベーションしていて、古い消防車なども置いてありショッピングをしなくても、見るだけでも楽しいです。

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フェリーを降りてすぐのヘリテージ1881周辺は見て回るだけでも楽しい。

近くに地下鉄の駅があり、ここから数駅北に移動すれば町中から道路にネオンが飛び出した香港映画でおなじみの街並みが広がるローカルエリアに入ります。リーズナブルな店も多いので軽く散策して食事をとるのがオススメ!夕暮れに近づけばネオンが点灯し、よりエキゾチックな雰囲気になります。

今年東京に初上陸したミシュランの飲茶レストラン「ティム・ホー・ワン」も市内数か所に店があります。東京ではまだまだ1時間くらいならばないといけませんが、本場でならそんなことはないですよ!

あとは近くのバス停からバスに乗って空港に戻りましょう。

 

市内から空港へ

まとめ

9時間のトランジットでも、香港入境に30分~1時間、空港から市内までは片道30分~1時間かかり、空港には2時間前には戻らないといけませんので、実質的に観光できるのは5時間半~4時間ほどになります。香港はそんなに大きな町ではありませんので、4時間でも十分に楽しめると思います。トランジットも楽しんで、旅行にプラス1都市いかがでしょうか。

僕はトランジットでの観光のキモは公共交通機関と考えてます。香港もそうですが、空港から市内まで電車やトラム、地下鉄など渋滞に巻き込まれない交通機関が直結していれば、渋滞で遅れたりイライラすることがありませんので、トランジット観光を楽しめると思いますよ。

船乗りは稼げる職業なのか【後編】

前編では会社や船によって給料の大枠がどう違うかについて紹介しました。
さて、後編は小さな視点で給料の内訳などの面から船乗りの収入事情を紹介していきたいと思います。

 

役職による違い

船乗りにも部長や課長のような役職があります。現在では船長を筆頭に一等航海士、二等航海士、三等航海士、甲板長、甲板手、甲板員となり、役職が上がるほど基本給、手当共に増えて行きます。また、年齢や勤続年数が増すほど高くなる年功序列に近いシステムになっている所が多いです。入社時の基本給に年次昇給と役職加給を加えたものが基本給になります。

基本給は賞与(ボーナス)や退職金の算定基準になり、また陸上有給休暇中に支給されるのは基本的にこの基本給のみになります。


そのほかの手当など給料の内訳

乗船している間は基本給に加えて、様々な手当が付きます。

まずは職務手当で、これは前項で紹介した役職によって付与される手当になります。

次に航海日当というもので、これは乗船中は日割りで与えられます。

船内の衛生・清掃作業につく衛生手当、自炊する必要のある船舶で付与される調理手当、労働協約で規定されている期間以上に連続して乗船している際に支払われる長期乗船手当、M0(エムゼロ)船に乗り込む機関士に与えられるM0(エムゼロ)手当など、様々な手当てがあります。


ボーナスや退職金

基本給を元に算定されて支払われる船会社が多いです。船員組合に加入していない船会社では、ボーナスや退職金に対する規約がなく支払われないところもあります。その場合は基本給が高かったり、陸上休暇中も手当込みの総額が支払われる年俸制になっていることが多いです。


船乗りのセカンドライフ

介護しなければならなくなった、病気やケガで長期に船に乗れなくなった、毎週休みのある仕事がしたくなった、という時の船乗りの再就職先について、紹介してみます。

開業する、一般企業に転職するという形以外でどんな道があるか、主に伝聞ですがいくつかの道があります。

まずは、水先案内人(パイロット)やドックマスター・ドックセーラーになる道です。船に乗るというライフスタイルを維持しながら通勤する生活ができる職業で、パイロットはパイロット試験を受ける条件を満たしたうえで受験し合格することで資格を得ることができます。取得後は先輩と同乗し研修を修了することで独立し個人事業主となって船に乗り港や水路の操船を補佐する仕事になります。ドックマスターは船の建造や修復を行いドックに所属し、ドックに出入りする船の操船や試験運行を指揮します。ドックセーラーは甲板手・甲板員に当たり、ドックマスターの指示に従い操船の補佐をする仕事です。ドックマスターやドックセーラーはドックの求人に応募し採用されることで転職できます。

教員になる道もあります、三級海技士資格を持ち、乗船履歴を付けることで、教員免許としてしようすることができ、水産高校や海技学校等で航海科・機関科の座学や実習の教師として働くことができます。

海事代理士は船・海上に特化した船の法律専門職で弁理士行政書士のような職です。国家資格に合格することで開業することができます。海難審判など海上での事故の裁判などに弁護士の代わりに被告の弁護を行ったり、海技免状や船員手帳その他書類の取得や更新業務の代行などを行います。海技学校で海事法規の教師として教鞭をとることもできます。

また、船舶免許ははく奪されない限り永久に効力を持ちますので、有効期限が切れても再発行・更新の手続きを完了することで再び船に乗ることも可能です。船に乗ってしまったら船しかない、船を下りて何年もたったらもう乗れないということはありませんので、安心して下さい。


普通にサラリーマンするより貯められます!

パイロットや1万トンを超える大きな船の船長になれば月収100万超えることも珍しくないものの、新卒で就職して20~30代の間は20万~40万円台のことがほとんどなので、会社員に比べて大きなアドバンテージがあるとは言えません。

ですが、船には給料の額面だけでは見えないメリットがあります。それは衣食住保証の原則というものです。これは、船に乗り組んでいる間の衣食住は船会社が保証しないといけないというものです。

衣については戦場で仕事をする上で必要な装備についてで、ツナギや作業服、防寒着や長靴・安全靴・ヘルメット・手袋といったものを支給もしくは貸与するというものです。一式全て購入するとかなりの額になりますので大きいです。自分の好みのものが欲しい場合は自費で購入しないといけない場合があります。肌着・下着や乗下船、船上休暇で着る私服については保証はありません。

食については船舶調理師が乗り組んで3食提供する義務があります。その際の食費は会社負担です。小さい船では船舶調理師が乗り組んでいない場合には自炊をする必要がありますが、食料購入費については一定額が支給されます。船舶調理師の食事が気に入らない、口に合わない場合の自炊や間食・夜食については自費での購入になります。

住は船内での個室の割り当てられ、電気は自家発電、水道はタンクに給水したものを利用するので負担はあります。布団や冷蔵庫・テレビなどは備え付けられてることがほとんどですが、パソコンや給湯器・ドライヤーなどが必要な人は自分で用意しないといけません。

以上の保証があるため、乗船中は会社員に比べて大きく生活に必要な経費を削減し、その分を貯蓄や旅行資金に回すことができます。

僕も20万~30万円台の手取り給料ですが、年に3回ほど長期海外旅行に行きながら毎年100万円以上の貯金をしています。