えことら -Economy Traveler-

船で働いて休暇は海外!そんな生活に興味ありませんか!?

船上・海上のネット・Wifi事情

もはや無い生活なんて考えられなくなったネット環境。DoCoMoAUソフトバンクの大手3社どころかMVMOでも日本全土の98%以上をカバーしていてかなり山奥に行っても電波が入らないということもほとんどなくなった現代。さて、山がつながるなら海はどうなんだということで、船で生活するうえでもネットにつながるかどうかは重要な問題です。この項では船員として船でのネット環境について、経験から紹介します。フェリーのネット事情にも少し触れています。

 

スマホの電波事情・沿岸編

内航船(日本国内のみを運行する商業船舶)は大抵日本の海岸線が見えるくらいの近さの会場を走っています。具体的には海岸近くの海抜にも寄りますが大体3~15マイル(1マイル≒1852mなので5.5~28km)くらい沖の場所になります。

2010年代前半までは10マイル≒18km離れると電波が途切れることも結構ありましたが、2018年現在では30kmいないなら何とかLTEで1本立ちますので、ネットを見たり、LINEをするくらいならほぼ問題なくできます。

ただ、三陸沖など海岸線が入り組んでいて人口密度も低いようなエリアの場合、かなり沿岸近くを走っていても電波が途切れることもあります。

 

スマホの電波事情・空港編

日本には関西国際空港や中部空港セントレア、羽田国際空港といった海上人工島に建設された空港があります。機内では通信機器はフライトモードにしないといけないくらい電波には神経質なのが空港施設です。

そのため、電波管制しているのか、航空管制通信の電波が強すぎるのかはわかりませんが、空港が近くにあると東京・大阪・名古屋といった大都市付近の海上でも圏外になることが結構あります。

中部セントレアなどではこのジャミング問題の対策を始めており、効果が上がっているそうですが、まだまだ通信妨害にあって満足にネットに繋げないことが多いです。

空港とは違いますが、東京湾のど真ん中、中ノ瀬という錨泊地では、東京・横浜・千葉のエリア電波がそれぞれ互いにケンカをするのか、ここでもよくネットが途切れます。

 

スマホの電波事情・遠洋編

和歌山の南端・潮岬から伊豆半島南端の石廊崎へ一直線に走るときなど、日本国内でも360度見渡す限り水平線という海域を航走する船もあります。

こういう海域を走っているときはさすがに圏外になってしまいます。船は衛星電話を搭載していますので、このような場所でも連絡を取ることが可能ですが、スマホは衛星通信に対応していないので、圏外になります。

数年前は北海道の南の海上で国際ローミングに接続しようとしたりといった事例もありましたが、最近はそういうことはなくなりました。

24時間以内にはネットがつながるところまで戻ってくるので、それまで我慢するしか今のところはないです。

 

船の公共Wifi

衛生電話とFAXが本土との主要連絡手段だったのはほぼ過去の話になり、メールでのやり取りを行う為に船にWifi設備を搭載する船が多くなっています。船の屋根に巨大な受信機を搭載する場合から職務用のPCにUSBルータを指すだけの市販機での対応まで様々です。

近年は、ネットにつながって当たり前の若い世代が増えてきたこともあり、ネットにつながらないのが理由で船を辞めたり、別の通信インフラに力を入れている船会社へ移るケースが出てきたため、福利厚生として船内に公共Wifiを導入する船が増えてきてはいます。

その場合でも、簡易な市販品で10マイル≒18km、本格的なネットワーク機器を搭載しても25マイル≒46km程度です先述の潮岬~石廊崎間を航行するときは60マイル≒110km以上を悠に離れた場所を航行しますので、結局圏外になります。

人工衛星を使ったネット通信サービスもあるのですが、衛星ネット回線は一説には一か月で100万円ともいわれるほどの高額回線であり、24時間以内には陸岸に近づいてネットに再接続できるようになる為、搭載している船はあったとしても官公庁船や海洋調査船などの特殊な船舶だけではないでしょうか。

いっぽう豪華客船やフェリーではネットが圏外になるとお客さんからクレームが出る為、携帯電波の基地局自体を船の屋根に設置するケースもあります。この場合はかなり電波の安定が見込めますが、それでも陸上の基地局から離れすぎるほどの沖を走るとやはり圏外になってしまうようです。

 

以上が船の上でのケータイ通信事情の現実になります。思ってたより大丈夫そうでしょうか?それとも耐えられないくらい酷かったでしょうか。

船という特殊な環境で働く我々船乗りに対しても、陸上で働く人とできるだけ同じ環境を整備するという取り組みは年々政府主導で行われています。ですから、数年前より少し遠くまででもネットがつながるようになっているように、これからも船上のネット環境は徐々に改善されていくと思われます。現状より悪くなることはないと思います。

通信環境に対する心配で船乗りに興味があっても足踏みしていて、この記事を読んでこれなら大丈夫そうだと感じられた方は、是非船乗りを目指してみて下さい。船員不足は続いておりますので、どの会社や船に就職されてもきっと歓迎されると思いますよ!