えことら -Economy Traveler-

船で働いて休暇は海外!そんな生活に興味ありませんか!?

船乗りの生活・仕事って大変?2 -休暇とイレギュラーな仕事-

 

先日投稿の前編では、船乗りの1日の生活の流れと、入出港や荷役といった作業での仕事について紹介しました。貨物船員の主な仕事は、船の操縦をする航海当直と荷役監視の荷役当直に入出港の作業を加えたものになります。

 

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後編となる第2回では、 それ以外の仕事と本ブログで船乗りをオススメする上で一番重要!?な休暇について紹介します。

 

その前に、航海当直ってなんぞや!?

すみません、前回すっぽり抜けていました。当たり前すぎて意識してませんでしたが、航海当直こそが僕ら航海士の本来業務です!

航海という単位は前回紹介しましたよね。この航海は荷役が終わって出港作業が完了するとそのまま始まります。出港の時間から4時間割り当てられる船もありますが、通常は24時間を0時から4時4時から8時8時から12時12時から16時16時から20時20時から24時(0時)に4時間ずつ6等分して8時間の休憩をはさんで、4時間の当直に立ちます。この場合、例えば18時に出港すれば、16時から20時の当直者は、18時から20時の2時間当直に立ち、その後8時間の休憩をはさんで翌朝4時から8時まで当局に立つことになります。

大型船では航海士は目視やレーダーを用いた周囲の監視、変針や他の船・障害物などを避ける操船、物標やレーダー、GPSを用いた船位の記録などを行い、甲板部員は同じく監視と、航海士の指示に従って舵を操作する操舵を主に行います。小型船では、一人で当直に立ちますので、全てを行う必要があります。担当する4時間は、乗組員全員の命と、数億円以上する船、そして搭載したお客様の荷物全ての安全を背負って当直に立つことになります。ただし、霧が濃くて見通しが悪かったり、船が多くて危ない時、狭いところを走るときなどは必要に応じて船長や他の乗組員の手を借りて安全に航行できるようにします。

 

船内休暇

港によっては日曜日に仕事をしない、お盆やGW、年末年始は休みといった場所があります。そういうタイミングにかちあうと、荷物を揚げおろすことができません。台風など天候不良や災害が原因で同じく港が作業できないこともあります。そういう時は次項の船体保全のための仕事をすることが多いのですが、時には半日や全日仕事をしない日が与えられることがあります。港に着岸していれば船を下りて買い物や遊びに行くことも可能です。また、船に乗り組んでいますので、休みでも乗船日当を含めた有給休暇になります。これは万が一災害や機関故障など、何かが起きた際には直ちに配置について対処をする必要がある為です。連続して休暇になる際に、申請すれば帰宅して宿泊することも可能ですが、その場合には手当などは支払われず、交通費も自費というのが普通です。

 

 

船体保全のための仕事

船は様々な機器や設備で構成されています。そのため日々の整備や修理が必要です。また小型船舶以外の船体は鋼材で出来ていますので、錆びます。機器の整備や修理、錆の除去や塗装などといった仕事がこれにあたります。航海と荷役が優先順位が上ですので、それ以外の時間を使って行われます。航海中に分担して行うこともあります。また、緊急時には航海や荷役に優先して行われることがあります。機器や損傷の具合によっては、座礁・転覆・衝突・沈没など極めて重大な事故を引き起こす恐れがあるためです。

 

イレギュラーな労働

イレギュラーな労働は航海中の補助や船体損傷や機器故障の緊急時、津波などの災害の発生時に当直役職にかかわらず、全員で対処する必要があるときに発生します。船は職場兼生活空間ですので、何かが起きれば全員で対処します。乗組員だけではどうしようもない時には会社やメーカーに援助を要請したり、海上保安庁など関係省庁と連携して問題にあたることになります。

 

船員の残業と手当

ここまで紹介したすべての仕事に従事する為、1日8時間では仕事が終わらない日もあります。そのため船では各種手当によってみなし残業で働くことになります。船や会社によっては、時間外が別途全額支払われる船や、航海の数が多い時は割り増し手当てが支払われたり、積んだ荷物の種類によって割り増し手当てが支払われるというケースもあります。

 

そして、休暇!

これらの仕事を船に乗り込んで2か月から半年程従事することで、長期陸上有給休暇がもらえます!乗船3日あたり1日の休暇というのが基本になりますので3か月乗れば1か月、半年乗れば2か月!の連続休暇になります。有給ですので、基本給は休暇中も支払われます。また、乗船中の乗組員が病気やケガで緊急に交代する必要があった場合などには、休暇を中断して乗船しなければならないこともあります。でも、事前に会社に旅程を知らせて許可を得ておけば、旅行を中断してまで帰国し、乗船するケースはほとんどないと思います。僕は5年以上船乗りをしていますが、帰国後に緊急乗船はありましたが、旅行中にはそういった要請をされたことはまだありません。

 

自営業や非正規雇用ではなく、正社員として働きながらこれだけの長期休暇が得られる仕事はほかにないと思います。もちろん連続1か月以上の有給の長期休暇がもらえるというメリットだけではなく、そのほかにも様々なメリットやデメリットがあります。今後、そういった良いところ、悪いところについても書いていきたいと思っています。

船乗りの世界も高齢化と人手不足が深刻化しています。資格さえ取ることができれば、年齢や新卒化にかかわらず働き口を見つけることができますので、興味が湧いた方がいらっしゃれば、ぜひ選択肢の一つに加えていただけたらと思います。

船で働いて、自由に海外旅行する生き方をしてみませんか?